MRI 導入事例 ・ Voice of Customer
~3.0Tとの最適な役割分担で実現する、高画質・高効率なMRI運用~
医療法人社団 新東京石心会 横濱石心会病院 放射線科
SIGNA™ Champion(1.5T)
当院は120床を有する整形外科特化病院であり、MRI検査の約70%を整形外科領域が占めています。なかでも脊椎および膝関節の検査件数が多く、この2部位だけで全体の約7割を占めています。また、高齢患者が多いことから、変形性膝関節症や腰部脊柱管狭窄症、術後フォローアップなど、日常診療においてMRIが果たす役割は極めて重要です。一方で、脳ドックや内科からの頭部MRI、MRCPを中心とした腹部MRIなどにも対応しており、専門病院でありながら幅広い検査を実施しています。
当院では病院建て替え事業に伴いMRIシステムの更新を進め、2026年4月よりGE HealthCare社製1.5T MRI「SIGNA™ Champion」を導入しました。本稿では、導入の背景や運用方法、実際に使用して感じた画質・操作性・ワークフロー面での評価について紹介します。
当院では約3年前より病院建て替え工事を3期に分けて進めています。第1期工事では、それまで約15年間使用してきた他社製1.5T MRIを更新し、GE HealthCare社製3.0T MRI「SIGNA™ Pioneer」を導入しました。3.0T導入の最大の理由は、当院の特色でもある膝関節診療にあります。膝関節専門医から「軟骨や靱帯などをより高精細に評価したい」という要望があり、高いSNRを活かした高分解能撮像を目的として3.0T装置の導入を決定しました。
その後、第2期工事の完了に合わせてSIGNA™ Championを増設しました。導入目的は大きく二つあります。一つは、年々増加するMRI検査件数への対応と、病棟患者に対する迅速なMRI検査体制の構築です。もう一つは、既設の3.0T MRI「SIGNA™ Pioneer」との役割分担を明確にし、それぞれの特性を活かした最適な診療体制を構築することです。単なる装置の増設ではなく、高分解能撮像を必要とする検査と、検査効率や術後評価を重視する検査を適切に振り分けることで、病院全体としてより質の高いMRI診療を提供することを目指しました。
従来は1台運用であったため、検査予約が集中すると当日検査の調整が難しくなる場面もありました。また、以前の他社製MRシステムでは検査時間が比較的長く、装置の経年劣化に伴う再起動などのトラブルも散見され、部品供給への不安も抱えていました。現在はSIGNA™ PioneerとSIGNA™ Championの2台体制となり、それぞれの特性を活かした柔軟な運用を実現しています。
導入前は1台運用であったため、病棟患者のMRI依頼や当日追加検査への対応には苦慮することも少なくありませんでした。検査枠を調整して無理に組み込む、あるいは翌日以降へ延期するケースも散見されていました。SIGNA™ PioneerとSIGNA™ Championの2台体制となったことで検査予約に余裕が生まれ、病棟患者や急な検査依頼にも柔軟に対応できるようになりました。実際には空き枠を活用して当日中に検査を実施できる場面も増えており、診療スピード向上にも寄与しています。
検査予約枠に余裕が生まれたことで、外来診療の流れを止めることなくMRI検査を組み込めるケースも増加しており、患者の待機時間短縮や診療効率の向上にもつながっています。また、従来使用していた装置では経年劣化に伴うフリーズや再起動がしばしば発生していました。さらにコイル故障時には代替品の供給が困難であった経験もあり、装置更新による安定稼働の重要性を改めて認識しています。現在は2台体制となったことで、一方の装置が点検やトラブル時であっても検査体制を維持できる環境が整っています。
現在は2台合わせて1日平均約20件のMRI検査を実施しており、そのうち約6割をSIGNA™ Championが担当しています。検査内容の内訳は、整形外科領域:約70%、頭部:約10%、腹部:約5%、その他:約15%となっています。特に腰椎と膝関節が中心であり、この2部位だけで全検査の約7割を占めています。腰椎MRIでは検査件数が多いことから、高画質を維持しつつ検査時間を短縮することを重視しています。一方、膝MRIでは軟骨や半月板、靱帯など微細構造の評価を目的に、高分解能撮像を最優先としています。このように疾患特性や診療ニーズに応じて撮像コンセプトを明確に分けていることが、当院のMRI運用の特徴です。
当院では膝MRIを重要な検査の一つと位置付けており、「診断に必要な情報を余すことなく提供すること」を最重要視しています。そのため、高分解能化だけではなく、再現性の高いポジショニングや撮像条件の標準化にも重点を置いています。軟骨、半月板、靱帯などの微細構造を高精細に描出するため、膝のみはSIGNA™ Championにおいても専用膝コイルを使用しています。四肢撮影には優れたAIR™ MP コイルも備えていますが、膝に関しては検査効率よりも画質を最優先し、専用コイルを選択しています。専用コイルは高いSNRを得られるだけでなく、セッティングが容易でポジショニング時間も短縮できるため、高画質とスループット向上を両立できています。
さらにAIR™ Recon DLを組み合わせることで、ノイズ低減効果が得られ、高分解能撮像においても画質を維持したまま実用的な撮像時間で検査を完了することが可能となっています。専用膝コイルとの組み合わせにより、高いSNRを確保しながら空間分解能を高めた撮像が可能となり、軟骨や半月板、前十字靱帯など微細構造の視認性向上を実感しています。撮像条件も高分解能化を意識して最適化しており、例えばプロトン密度強調冠状断ではFOV 150 mm、Pixel Size 0.33×0.36mm、スライス厚2.5mmを基本設定としています。マトリックスをさらに高く設定することもできますが、軟骨描出とのバランスを考慮し、実臨床で最適と考える条件を採用しています。読影医からも「半月板や軟骨病変の評価に十分な画質が得られている」との評価を得ており、日常診療における診断支援に寄与していると感じています。



当院では肩関節MRアルトログラフィも積極的に実施しています。近年実施施設は減少傾向にありますが、反復性肩脱臼や関節唇損傷の評価において依然として有用な検査です。SIGNA™ Championでは3D LAVAを用いた撮像により造影剤と病変のコントラストが向上し、術前評価に有用な情報を提供しています。



また、高齢患者も多く、肩関節痛により長時間の安静保持が困難な症例も少なくありません。そのような場合にはPROPELLERを活用することで、体動によるアーチファクトを抑制し、安定した画質の確保に役立っています。




SIGNA™ Championを使用して最も驚いた点は、優れた画質と検査時間短縮を高いレベルで両立できることでした。従来使用していた他社製システムと比較すると、腰椎MRIでは約20分から約11分(約45%短縮)、膝MRIでは約22分から約16分(約27%短縮)となり、診断に必要な画質を維持しながら大幅な検査時間短縮を実現しました。単に高速化しただけではなく、AIR™ Recon DLによる画像ノイズ低減効果やトランケーションアーチファクトの低減効果も加わることで、良好な画質を保ったまま撮像時間を短縮できています。
腰椎検査では約9分、膝検査では約6分の短縮となり、1日の検査枠全体として見ると複数件分の余裕が生まれる結果となりました。この時間的な余裕は、急患対応や当日追加検査への柔軟な対応だけでなく、日常診療全体の効率化にも大きく寄与しています。その結果、予約枠に余裕が生まれ、急患や当日依頼への対応力も向上しました。整形外科病院では患者数が多く、効率的な検査運用が求められるため、この恩恵は大きいと感じています。
SIGNA™ ChampionではAIR™ コイルやAIR™ MP コイルも積極的に活用しています。特にAIR™ MP コイルは21chの軽量コイルであり、手関節や足関節など四肢撮影の多くをこのコイル一つで対応できます。装着性にも優れており、患者負担軽減と検査準備時間短縮の両立が可能となっています。
また、自動位置決め機能も有用です。膝や頭部ではAIによる自動位置決め機能(AIR™ x)を利用していますが、ベテラン技師でも経験の浅い技師でも同一条件で撮像できるため、画像再現性が大きく向上しました。撮像条件や位置決めの標準化が進んだことで、経験年数による画質差が小さくなり、教育期間の短縮と安定した画質の提供につながっています。また、撮像手技の標準化にも寄与しており、施設全体のMRI品質向上に大きく貢献していると感じています。操作画面も直感的で分かりやすく、装置全体として非常に扱いやすい印象です。
当院ではSIGNA™ PioneerとSIGNA™ Championを単純な上位・下位装置として捉えるのではなく、それぞれの特性を活かした役割分担を行っています。膝関節MRIでは軟骨、半月板、靱帯など微細構造の描出を重視しており、関節系の評価では3.0Tが有利であると考えています。実際に整形外科医からも「関節系は3.0Tで撮像したい」との要望があり、高分解能撮像が求められる症例ではSIGNA™ Pioneerを選択しています。
一方、SIGNA™ Championでは腰椎MRI、肩関節MRI、病棟患者の検査、地域医療機関からの紹介検査などを中心に担当しています。特に腰椎MRIは当院で最も検査件数が多く、高画質と高い検査効率の両立が求められる領域であり、1.5T装置が日常診療を支える中心的な役割を担っています。また、eXtreme Lateral Interbody Fusion(XLIF)などの脊椎固定術後症例では、3.0T装置では金属アーチファクトの影響により神経根や脊柱管内の評価が困難となる場合があります。一方、1.5Tでは比較的アーチファクトの少ない画像が得られるため、術後評価において1.5T装置ならではの有用性を感じています。当院は高齢患者が多く、人工関節や脊椎固定術後の症例も少なくないことから、1.5T装置は日常診療に欠かせない存在となっています。




当院では、感染症や腫瘍性病変などの評価において拡散強調画像(DWI)を積極的に活用しています。特にSIGNA™ ChampionではFOCUS DWIおよびMUSEを使用できることから、撮像部位や診断目的に応じて最適なシーケンスを選択しています。FOCUS DWIは撮像範囲を限定することで歪みを抑制しながら高い空間分解能を実現できることが特徴です。当院では頚髄上位や脊柱管内病変の評価に加え、婦人科領域など小病変の描出が求められる症例にも活用しています。






病変や撮像部位に応じて撮像条件を最適化しながら運用しており、必要に応じてMPRによる多断面表示も併用することで病変の局在や広がりの評価に役立てています。
また、MUSEはマルチショット撮像によりひずみの少ない安定した画質が得られることから、整形外科領域の術後感染評価や頭頸部病変の評価などに活用しています。アキレス腱術後の膿瘍精査や下顎枝内側部膿瘍が疑われた症例では、病変の描出や周囲組織との位置関係の把握に有用であると感じています。当院の症例ではFOCUS DWIと比較して歪みの差は大きくないものの、安定した画質が得られる印象を受けています。






SIGNA™ Championの基本性能を評価するうえで、全身DWIも非常に有用であると感じています。全身DWIでは広範囲撮像を行うため、磁場均一性や脂肪抑制性能の影響が画像品質に大きく反映されます。SIGNA™ Championでは広範囲撮像にもかかわらず均一な脂肪抑制が得られ、歪みの少ない安定した画像を取得できています。また、体幹部から四肢まで広い撮像範囲においても画質のばらつきが少なく、装置本来の基本性能の高さを実感しています。日常診療では整形外科領域が中心ではありますが、こうした全身DWIの画質を見ることで、SIGNA™ Championが幅広い臨床領域に対応可能なポテンシャルを有していることを感じています。




SIGNA™ Championは、コンパクトな設計でありながら、高画質・高速撮像・優れた操作性を兼ね備えた1.5T MRIです。当院では膝関節の高分解能撮像、肩関節MRアルトログラフィ、術後腰椎評価、高分解能DWIなど、多様な検査でその性能を活用しています。また、AIR™ Recon DLやAIR™ MP コイル、自動位置決め機能によるワークフロー改善も日常診療に大きく貢献しています。
SIGNA™ Pioneerとの適切な役割分担により、患者一人ひとりに最適な検査を提供できる体制が整い、検査効率と診断精度の両立を実現しています。コンパクトな筐体からは想像できないパワフルな基本性能と優れたワークフローを兼ね備えたSIGNA™ Championは、当院の整形外科MRI診療を支える中核装置として日々活躍しています。今後も両システムの最適な役割分担を図りながら、より質の高いMRI診療を提供していきたいと考えています。
※本カスタマーボイスはお客様の使用経験に基づく記載です。製品の仕様値として保証するものではありません。
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