第七話 外部保存の注意点とは?[Page 4/4]

今回のキーワード:安全性、中立性、第三者認証、PDCAサイクル、ISMS、VNA

志位:「どの外部保存サービスも、何らかのデータセンターを利用しているよね。データセンターというのは、元々、多くの人や企業のデータを預かる場所だから、データセンター自体がISO27001の認証を取るのは自然なことなんだ。でも、我々診療データを預ける側が期待するのは、外部保存サービスを提供する主にPACSベンダーが、外部保存の運用を含めて継続的な改善を行っていて、第三者の審査を受けて認証を取得していることなので、カタログなどにISO27001取得って書いてあっても単純に鵜呑みにしないようにしたいね。」

イチロー:「先生、もうひとつの注意すべき点として、『中立性』を挙げていらっしゃいましたよね?こちらはどういったことなんでしょうか?」

志位:「うん、中立性というのは、マルチベンダー接続が担保された、ベンダー中立型のシステムであるかどうかという意味なんだ。これは院内のPACSでも大事なことだけど、外部保存では『中立性の高い』サービスを選ぶことが一層重要になると考えているよ。」

くらら:「逆に言えば、中立的ではないサービスを選んでしまうと、データの囲い込み、すなわちデータを人質に取られる可能性があるということでしょうか?」

志位:「もちろん、データを人質にして脅迫するような事業者がいるとは思わないけど、院内のシステムや、外部保存サービスを違う事業者に変更したい時に、制約を受ける可能性はあると思うよ。」

くらら: 「中立的かどうかは、どのように見極めたら良いのでしょうか?」

志位: 「まずは、外部保存サービス事業者が、院内PACSはどのベンダーのものでも対応可能と表明しているかどうかだね。院内PACSとセットでのみサービスを提供している場合もあるからね。どのベンダーのPACSでも対応しているということは、標準規約でデータのやり取りをするということだね。」

くらら:「つまり、DICOMによるデータの交換が可能ってことですね?」

志位:「その通りだね。細かいことを言うと、データセンターと接続する時に、院内システムとの責任分界点として、いわゆるゲートウェイを置くことが多いんだけど、院内PACSとデータセンターが、このゲートウェイを介してDICOM通信 でデータを預けたり、取り戻したり出来ることが、中立型の必須条件だね。」

イチロー:「先生、中立型と言えば、PACS業界では最近、VNA(ブイ・エヌ・エー)という言葉をよく耳にします。」

志位:「うん、『ベンダー・ニュートラル・アーカイブ(Vender Neutral Archive)』の頭文字を取ったものだね。まさに、複数ベンダーのPACS(DICOMサーバ等)からデータを受け取って、一元的に管理するシステムのことを指している。ベンダー中立型の外部保存サービスは、このVNAの一形態と言って良いと思うよ。」

くらら:「私はVNAという言葉を初めて聞きました。」

イチロー:「そうか、まだVNAの話はしていなかったね。今日はもう遅くなってきたから、次回はVNAと、外部保存サービスにおける中立性のメリットなどについて勉強しよう。志位先生、今日はありがとうございました!」

志位:「私も楽しかったよ。」

くらら:「志位先生、蔵田先輩、ありがとうございました!次回も楽しみにしてます!」


外部保存の注意点に関する第七話、参考になりましたでしょうか?
次回、第八話は3月上旬を予定しています、引き続きご参考下さい。