第四話 外部保存のメリットとは?(#1 災害対策と設置スペース)
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今回のキーワード:災害対策、ASP、SaaS、PaaS、IaaS、設置スペースの削減、
            電気代の削減

くらら: 「蔵田先輩!今日も色々教えてください。」
イチロー: 「えーと、前回まではDICOMの基礎や、PACSのストレージ構造について教えたんだよね。今日は、いよいよ外 部保存について話していこうか?」
くらら: 「はい!よろしくお願いします!」
イチロー: 「じゃあ、まず、ちょっと振り返りになるけど、外部保存の最大の目的はなんだったか覚えてる?」
くらら: 「ええと、災害対策ですよね?」
イチロー:  

「その通り。災害対策は、英語ではDisaster Recovery、つ まり災害からの復旧という意味で、頭文字を取って、DRと言うこともあるよ。我々は、患者さんの貴重なデータを預かっているから、それが失われたりしないように、しっかり守る義務がある。データを守るためにPACSのデータが二重化されていることは前回教えたよね?」

 

くらら: 「はい、STSとLTAで二重化してるんですよね?」  

 

イチロー: 「そう。RAIDによる冗長化だけでは十分ではないから、二重化も行っている。ところで、うちの病院のPACSでは、 STSとLTAがどこに置いてあるか知ってるかな?」
くらら: 「え?どちらも1F放射線部のサーバ室じゃないんですか?」
イチロー: 「実は、PACSのメインサーバやSTSは1Fのサーバ室に置いてあるけど、LTAは5Fの医療情報部のサーバ室に 置いてあるんだよ。STSとLTAで二重化してあっても、同じ場所にあったら、水害や火災が起きた時、どちらも 失われる可能性があるよね?だから階を分けてるんだ。」
くらら: 「なるほど!小規模の災害には有効な対策ですね。」
イチロー: 「そうだね。でも、施設全体がダメージを受けるような大規模災害が起こると、どちらも同時に失われる可能 性がある。そこで、外部保存にすることで、大規模災害からも大事なデータを守ろうという訳だね。」
くらら: 「外部保存にするメリットは災害対策だけ なんですか?」
イチロー: 「それだけじゃないよ。いくつかあるので、列挙してある資料を見てみようか?」

<外部保存の主なメリット>

①災害対策
②設置スペースの削減
③電気消費量の節約/空調設備の節約
④初期投資費用の抑制/キャッシュフローの改善
⑤運用管理の手間の削減
⑥常に最新バージョンのソフトウェアが使える
⑦ハードディスクの空き容量(残量)を気にする必要がない
⑧ハードウェアのメンテナンスを気にする必要がない
⑨ハードウェアの更新(買い替え)をする必要がない
⑩データ移行の負担が減る
イチロー: 「主なものとしては、以上の10点があると思うよ。実はこれ、クラウド・コンピューティング・サービス、いわゆるクラウドのメリットとほぼ同じなんだよ。」
くらら: 「じゃあ、外部保存=クラウドなんですか?」

外部保存=クラウドではない?