第三話 「外部保存」とPACSの関係は?
(#2 PACSのストレージ構造) [Page 1/3]
今回のキーワード: ストレージ、SSD、RAID、STS/LTA、検像、確定
くらら: | 「蔵田先輩!前回はDICOMのことを教えてくださって、ありがとうございました!」 |
イチロー: | 「市野さんが勉強熱心だから、僕も教えがいがあって嬉しいよ。」 |
くらら: | 「今回はPACSのストレージについてですよね?」 |
イチロー: | 「そうだね。外部保存について、より良い検討をするためにも、PACSのデータ保管方法について、 正しく理解しておくべきだと思うんだ。」 |
くらら: | 「ストレージというのはハードディスクのことですよね? 」 |
イチロー: | 「うん、今はハードディスクが主流だね。でも、ストレージというのはデータ記憶装置全般を意味するので、 ハードディスクに限定されるわけではないんだ。昔は、光ディスクやMOなどがあったし、今でもCD、DVD、 磁気テープ、Blu-rayなどが使われている。これからはSSDのようなフラッシュメモリ型のストレージも使われ るケースが増えていくと思うよ。」 |
くらら: | 「エスエスディーって何ですか?」 |
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イチロー: | 「Solid State Driveの略で、フラッシュメモリーを使ったストレージ媒体なんだ。ハードディスクは円盤が 回転しているので常時電力を使うけど、SSDはアクセスされた時しか大きな電力を使わないので消費 電力や発熱量も抑えられる。現状ではまだ高価だけど、読み書きのスピードがハードディスクより速いか ら、次世代のストレージとして注目されてるんだ。」 |
くらら: | 「うちの病院のPACSでは、どんなストレージを使っているんですか?」 |
イチロー: | 「うちはRAID6のハードディスクだよ。RAIDについては知ってるかな?」 |
くらら: | 「レイド?」 |
イチロー: | |
![]() 「うん、RAIDっていうのは、”Redundant Array of Independent(Inexpensive) Disks”の略で、複数のハードディスクを組み合わせて、あたかもひとつの大きなハードディスクのように見せて、読み書きのスピードを向上させたり、故障からデータを守ったりする技術なんだ。RAIDには0、1、5、6などの種類があるけど、PACSの画像データを保存するストレージには、主にRAID5かRAID6が使われる。どちらもハードディスクが壊れた時に、壊れたハードディスクを交換すればそこに入っていたデータを修復する機能があるんだよ。 RAID6の場合には同時に2つのハードディスクが壊れても修復が可能なんだ。」 |
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くらら: | 「3つ同時に壊れることはあり得るんですか?」 |
イチロー: | 「確率は低いけど、絶対にないとは言えないね。」 |
くらら: | 「もし起こったら、どうなるんですか?」 |
イチロー: | 「最悪の場合、そこに入っていたデータは二度と見られなくなる可能性があるよ。」 |
くらら: | 「患者さんの診療データは、電子保存の3原則で、しっかりと守らなければならないんですよね?」 |
イチロー: | 「そう。第1回で教えたよね。だから、PACSでは、データを二重化して管理しているんだ。」 |
くらら: | 「RAIDとは別に、二重化しているってことですか?」 |
イチロー: | 「そうだよ。PACSが受信したデータは、まず短期ストレージと呼ばれる場所に格納されて、一定時間が経過したのちに長期アーカイブと呼ばれる場所にもコピーされて二重化されているんだ。短期ストレージのことをShort Term Storage、略してSTSとも言うし、長期アーカイブはLong Term Archive、略してLTAと言ったりもするよ。」 |
