第八話 外部保存の注意点とは?(ベンダーの中立性)[Page 1/2]
今回のキーワード:VNA(ベンダー・ニュートラル・アーカイブ)、通信プロトコル、STS、LTA
くらら: | 志位先生、蔵田先輩、今日もよろしくお願いします! 前回、VNAについて初めてお聞きして、すごく興味を持ちました。」 |
イチロー: | 「VNA、何の略か覚えてる?」 |
くらら: | 「はい、ベンダー・ニュートラル・アーカイブです。院内のシステムや、外部保存サービスを違う事業者に変更したい時に、制約を受けないためには重要、でしたよね。」 |
イチロー: | 「ちゃんと復習してきたんだね。そう、一般的なPACSでは、ビューワとストレージの間はメーカー独自の通信プロトコルやファイルフォーマットで通信していることが多いんだよね。うちの病院も、放射線PACSのほかに、違うメーカーの循環器PACS、内視鏡PACSなどが入っているけど、各社独自の通信で、それぞれSTS(short term storage:短期ストレージ)とLTA(long term archive:長期アーカイブ)にデータを冗長化させているのが現状なんだ。」 | ![]() |
志位: | 「そうなんだよね。この前も循環器PACSのLTAの容量がいっぱいになっていることに気付かなくて、急に増設しないといけなくなったんだけど、予算が残っていないと言われて、交渉が大変だったんだよ。本当にギリギリのところで間に合ったから事なきを得たんだけど。」 |
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くらら: | 「うわ~。事務長の渋い顔が目に浮かびます。。。複数のPACSの管理って大変なんですね。」 |
志位: | 「いやー、本当に大変だった。蔵田くんはよく知っていると思うけど、今までも何回かこういうことが起こっていて、毎回大変な思いをしているよね。内視鏡PACSのLTAはたくさん空いているけど、ベンダー独自の通信だから共有することはできないんだよ。それぞれのPACSをなくしてVNAにといった考えも聞くけど、ぞれぞれのワークフローに合ったPACSだからそれはそれで必要なんだよね。「PACSかVNAか」ではなくて、「PACSとVNA」を組み合わせて、複数ベンダーのPACSを一元管理したいと思っているんだ。」 |
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イチロー: | 「いつも志位先生には事務長と交渉の矢面に立っていただいて、本当に助かっています。今回、うちの病院で外部保存の検討を始めるときも、志位先生はベンダー中立のメーカーで、ということを最初からおっしゃっていましたよね。」 |
志位: | 「そうそう。さっき蔵田くんがPACS内部の通信はベンダー独自のことが多いと言ったけど、外部保存を提供しているベンダーも、院内PACSとデータセンターとの間はベンダー独自の通信のところもあるんだよ。その場合、基本的には院内のSTS障害時のリカバリー専用、という考え方だから、外部にデータベースも持っていないんだよね。」 |
くらら: | 「ふ~ん。ベンダー独自の通信だと、PACS更新時に他社に切り替える場合はどうなるんですか?」
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志位: | 「いいポイントだね。ベンダーが違うと通信形式が異なるから、一度データセンターから院内のPACSにデータをすべて戻して、DICOM通信で他社のPACSにデータ移行することになるね。このとき、データセンターからは今稼働しているPACSにデータを戻すことになるので、大きな負担がかかることになるよね。外部保存をする場合は、新しいPACSにデータ移行が終わってから、再度データをデータセンターにアップロードすることになるんだよ。」
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くらら: | 「なんだかものすごく大変そうだし、時間もかかりそう。」 |