第五話 「外部保存」のメリットとは?(#2 クラウドの本質)
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今回のキーワード: 災害対策、所有と利用、TCO、業務の委託、管理負担の軽減

くらら:「蔵田先輩は、日常の撮影業務の他にも、そんなに色んなことをしていらっしゃったんですね。私も早くお役にたてるようになりたいです!」

イチロー:「ありがとう。僕もそのために、知ってる限りのことを伝授するからね。」

くらら: 「よろしくお願いします!ところで、外部保存にすると、そういう管理者の仕事が楽になるんですか?」


イチロー:
「外部保存っていうのは、僕たちが行うべき『データ管理』という業務を、契約に基づいて『委託』するっていうことなんだ。『委託』ってことは、外部保存サービスを提供するベンダーが、僕らに代わって、責任を持ってデータを保存・管理してくれるってことなんだ。」
くらら: 「あ、そうか!業務を私たちに代わってやってくれるから、⑥以降のメリットが生まれるんですね!」
イチロー:「その通り!じゃあ、さっそく⑥から見て行こうか。外部保存では、データ管理用のソフトウェアはデータセンター側にあるよね。だから、例えばセキュリティを強化するためのパッチが出ていたら、僕らがあまり気にしなくてもベンダー側で必要な措置を講じてくれるはずだよね。それから、ソフトウェアに新しい機能が追加された場合、院内にサーバがあったら、ベンダーのSEに来てもらってバージョンアップ作業をしてもらわなければならないよね。そのための費用も負担しなきゃならない。でも外部保存なら、ベンダーは自らの判断で必要に応じて最新のバージョンにバージョンアップしてくれるんだ。僕たちの所有物ではないから、僕たちがその費用を負担する必要はないんだ。」

くらら:「一時的な費用の支払いをしなくても、最新のソフトウェアを使えるんですね!」

イチロー:「そうだね。一時的な費用と言えば、⑦にも大いに関係があるね。」

くらら: 「ストレージの残量を気にしないで良いってことは、ストレージの増設が要らないってことですよね?」

イチロー: 「そうなんだ。ストレージを『所有』しているってことは、足りなくなった時の対処にも責任を持たなきゃならないってことだからね。外部保存なら、僕らは気にする必要がない。ハードディスクの追加は、ベンダー側が責任を持ってやってくれるからね。」

くらら: 「もちろん、故障や修理も気にしなくていいんですよね?」

くらら:「もちろん、故障や修理も気にしなくていいんですよね?」

イチロー:「そうなんだ、それが正に⑧のメンテナンスを気にする必要がないっていうメリットだね。『所有』の場合は、例えば、ハードディスクが故障していないか、定期的にチェックする必要があるし、故障しているのが見つかったらベンダーに連絡して修理に来てもらう必要がある。修理するのにシステム停止が伴うなら、作業日時の調整もしなきゃならないし、院内へのアナウンスも必要になる。修理レポートをチェックして、直っていることを確認して、レポートにサインして、記録として保管して、って色々やらなきゃならないことがあるんだよ。」

くらら:「院内のシステムが全部データセンター側になれば、すごく楽になりますね!」

イチロー:「そう、理想だね。ただ、画像表示は秒単位で速さを求められるし、フィルムレス運用では止まることが許されないことを考えると、現状ではある程度院内側にもデータやシステムを持つ必要があると思うんだ。でも、外部保存でハードウェアが減れば、その分、確実に故障する対象が減る訳だから、やっぱりメリットはあると思うよ。」

くらら:「そうですね。きっと次第に理想に近づいていくんでしょうね。期待しちゃいます。」

イチロー:「外部保存の10個のメリットも、残りわずかになってきたね。次回は残り2つのメリットを学ぶところから始めようか?」

くらら:「はい!次回もよろしくお願いします!」