第九話 外部保存の利用料金はどうなってるの?[Page 3/4] 
(シリーズ-1 最終話)

今回のキーワード:蓄積型、定額型、差分型、再保存料、ILM、再圧縮

イチロー:「医知の蔵の場合は、契約期間が5年間で、その後は契約更新時点で蓄積しているデータの再保存料と毎月の転送量がかかることになるね。」

くらら: 「長期的にはやはり利用料金が上がるのは避けられないのですか?」
イチロー: 「データ量が増えるので、同じ料金で使い続けることは難しいよね。これをどうやって抑えていくかはやっぱり課題として残るのだけど、医知の蔵では蓄積されたデータを効率的に管理できるILM(Image LifecycleManagement)という機能があるんだ。」
志位: 「確かにデータは増え続けるからねぇ。で、そのILMってどういうものなの?」
イチロー:「ILMは一定の条件を設定してデータの再圧縮や削除をする、さらにそれを安全に実行できるようにログを管理する機能なんです。うちの病院でも前に調べたことあるんですが、撮影から5年を超えたデータへのアクセスは、全体の2%くらいだったんですよね。参照の機会も少ないですし、これらのデータは再圧縮しても良いんじゃないかと思ってます。」

志位:「確かに1,2年前のデータは比較のためによく見るけど、5年以上だと見ることは少ないかもなぁ。」

イチロー:「こういった古くなったデータを対象にすることもできますし、ほかにも施設名や年齢などで設定することができる、たとえば他院からのデータは削除する、など設定することもできますよね。」

志位:「圧縮率は指定できるの?」

イチロー:「はい、非可逆圧縮ではJPEGかJPEG 2000で再圧縮することができるのですが、どちらも圧縮率を選択することができます。また、モダリティごとに設定することもできるので、いくつかサンプル画像を見て、先生方に判断していただくことになると思います。ちょうどGEからサンプル画像をもらっているので、見てみます?」

志位:「そうだね、隣の部屋で賀造先生がまだ読影していると思うから、いっしょに見てもらう。市野さん、呼んできてくれる?」

くらら:「はい!」

賀造:「志位先生、お呼びですか?」

志位:「5年以上経過した古い画像の再圧縮を考えているんだけど、蔵田くんが圧縮画像を用意してくれているので、賀造先生にいっしょに見てもらおうと思ってね。」

賀造:「確かにオリジナル画像と見比べると若干画質が落ちる感じはあるけど、5年以上の画像だったら比較することもかなり少ないし、このくらいの画質で十分だと思いますね。」
志位:「私もそう思うよ。」
賀造:「念のためほかの先生にも見てもらった方がよさそうですね。実際にはどういう風にルールを決めて運用するんですか?」

イチロー:「最初に行うことは、先生方にサンプル画像を見ていただいて、どういった再圧縮を行うかルールを作ることです。その後システム上で設定しますが、1人が作成者となって、そのルールを設定します。承認者は2名設定して、そのルールを評価して、そこで修正が必要だったら、作成者に戻って修正することになります。承認者2名がルールを承認すれば再圧縮が実行されることになります。」

賀造:「へぇ。けっこう厳重な仕組みになっているんですね。」

自院での主体的な画像管理に向けて